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インク一滴

視覚を奪われて見えるもの。

お風呂から上がり、ベッドに滑り込むと、
上から覆いかぶさってペニスを口にねじ込まれたあと、アイマスクを着けられた。

その時には目を閉じている事が多いので、見えない事に変わりはない。
彼が意図的に私の視覚を奪う事。
その行為が持つ意味に欲情する。

頬を両手で包まれてキスされると、それだけで潤ってくる。
大きな手のひらと少し厚めの唇。
触覚とにおいで大好きなそそれらの形を思い浮かべながら、舌を絡める。

先日のデートでは、予想外の体調不良により、
彼の口唇での愛撫を少しだけにとどめてもらった。
妙な味がしてはいけないと思ったからだが、
翌朝も彼は口唇で攻めようとした。
まだ、万全ではなく、朝は拒否してしまった。

それはお互いに小さな不満となっていたようで、
体調が万全となって、存分に口唇で愛撫されてしまった。
彼の唇と舌の感触と温度が
私をどこかへ連れてこうと執拗に攻め立てる。
液体が溢れ出てくる。
突起が膨らんでくる。。。

四つ這いにさせて、後ろからも、たっぷり舐める。
小さく痙攣したところで、堅く大きなものがあてがわれる。
ただし、先端だけ。。
たまらず腰を後ろにスライドさせようとすると、押し戻される。
何度か試みるがことごとく、押し戻される。
目の前に人参をぶら下げられた馬状態?
と思っていると一気に奥まで突かれる。。。
自分でも驚くほどの声が出てしまう。
奥まで彼を包み込む心地よさ、深く繋がる一体感、
激しく求められる喜び。。。
彼の両手は私の腰を掴んだり、肩を持ったり、
胸をつついたり、背中をなぞる。
背中や頬に触れる柔らかい髪の感触が優しい。
紅潮した頬をもち後ろを向かせて、
口づけをくれる。
とろける様な顔で私は夢中で舌を絡める。
うめく様な声をあげながら。


視覚を奪われて後ろから突かれている私を、
その一部始終を、もう1人の自分が見つめている。












俯瞰 |

画像と思い出。



けやき坂の横断歩道で東京タワーとイルミネーションを画像に収める。

随分昔、携帯電話もなかった頃、函館の坂の上から海に沈んで行く太陽を見た。
しばしば函館山に登り、明け方の街を見下ろした。
写真なんか撮らなくても、頭の中にその光景を焼き付ければいいと、
その時は思っていたのでけれど、今となっては思い出せない。

見えるものが全てではないし、その時の感情やら状況が
恐らく今の私を形作っている。

あとからキラキラした画像をそっと取り出して、
その時のキラキラした気持を思い出す。
秘密の飴をそっと舐めるように。

記憶は薄れてしまうとわかったから、
それを呼び起こす手がかりとして保険をかける。




デート |

静謐と熱情。


予定外の仕事が入り、少し残業することになってしまった。
大急ぎで身支度をしてタクシーに飛び乗る。

少し雪の降る中、車は走り、
開演時間の少し前にホールに到着できた。

巨匠と呼ばれるチェリスト。
美しい娘さんがピアノ伴奏。

無伴奏の美しい静謐。
そのあとのピアノが邪魔と感じてしまうほど。
でも、ふたりで目を合わせてカウントを取る様子は微笑ましく、親子の愛情も感じる。
くるくるとウェーブのかかった長い髪をかきあげるのも、共通の仕草だ。

チェロにこぼれ落ちる汗を何度も拭き、
舞台袖に引く度に着替えて登場する。
力強く、余力を残す様な演奏ではなかったと思うのだが、
アンコールには実に5回も応えた。

始まりの一音で心を震わされ、鷲掴みにされてしまった幸せな夜だった。








音楽 |

言葉と行為。


浴室が肌寒いので、バスローブでくるまれてベッドに連れて行かれた。
いつもは浴室のマットの上に横たえられるのだが。

タオルで丁寧に水滴を拭いてくれる。
子供にするような行為で、彼の愛情深さを感じる。

彼が仰向けに横たわり、私は上から彼の頭を抱く。
頬ずりとキス。
愛おしい気持ちを伝えたいから?
言葉にはできないから?
そうかもしれないけれど、実際にはしたい事をしているだけだ。


行為は言葉にするよりも深く思いが伝わる様な気がする。
バスローブでふんわりとくるんでくれたり、
水滴を丁寧にとってくれたり、
それだけで、私は殆ど泣きそうなのだ。

後ろから、背中に頬ずりして、皮膚の感触を楽しみ、
形状を記憶しようとするように、丸みやくぼみをなんどもなぞる。
それに呼応するように熱くなったり湿潤してきたりする、
皮膚と粘膜の雄弁さを知る。

言葉がなくても私を上にしたり下にしたりできる。
その表情だけで、十分に感じている事がわかる。

言葉が理性の象徴ならば、理性を取り払って
根源的な交わりができたと言えるのかもしれない。










想い |

唇の記憶。


シャツのボタンをはずされる。
その素早さに驚く間もなく肩からするりと落とされて、
あらわになった首筋、肩に口づける。


彼にも衣服を脱いでもらい、胸に頬を押しつける。
素肌の温かな感触に安心しつつ、殆ど無臭な皮膚の匂いに欲情する。
唇で乳首の存在を確認し、湿度を与え、指でもまさぐる。

ショーツを脱がせて股間に頬ずり、キス。
愛おしい気持を込めて手と口でねっとりと愛撫する。
彼の手が頭に添えられるのが嬉しい。
遠慮がちにそっと頭に置くだけの手に、
もっと力を込めて欲しいと思うことがある。
本能のおもむくままに激しく動かして欲しいと。

しばらくすると、抱き上げてキスしてくれる。
唾液が混ざり合うのが気持良くて嬉しい。

ひと月振りの感触を、自分の皮膚や粘膜がきちんと記憶していて、
反応してしまう。
求め合っている事を感じられる、そのことも嬉しい。








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