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インク一滴

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春のひかり



その日はよく晴れたうららかな春の日だった。
暖かくなって雪が融けてゆく。
長い間雪に閉ざされる地に暮らす者にとって、春は待ち焦がれた恋人のようにも思える季節だ。

そんな良い季節を迎えて、最後のデートの日がやってきた。

物事には終わりがある。
終わらない関係はない。

けれど、ああそうですか、で済ませることができるほど、自分の感情は簡単ではなかった。
そもそも自分から言いだしたことなのに。

長い長い時間、指を絡めて抱きしめてくれていた。
好きだよ、と言ってくれた。
素直に嬉しかったし私も大好きなのに、言えなかった。
未来のない「好き」は、虚しい気がした。

後になって、未来などなくても好きは好きじゃないかと後悔した。
未来がないことなどわかっていたし、閉じた世界に二人きりで存在する、
その空間に時々いることができたらそれでよかった。

成功不安。
うまくいきそうになると自分で壊してしまう。

どうかしてる。

恋愛の美味しいところだけを味わうキリギリスにバチがあたった。

最後の逢瀬ののちに外へ出ると、春の光が眩しかった。






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想い |

見ること。


なかなか逢えない日々が続いていたが、
仕事で一区切りがついたら居ても立ってもいられない状況になり、
なんとか時間をやりくりしてデートに至る。

時差ぼけもなく元気な彼だ。

いつもとどこか違う。

つながったままの私を抱き起こして、
後頭部を支えて少し下を向くようにされると、
出入りしている彼が目に入る。
ちゃんと見てごらん。
そう言われているようで、
そんな状況にも、そんな彼にも激しく欲情する。




デート |

ブルーのシャツ。


出張やその準備などで忙しく、なかなかデートもできなかった日々。
そんな中でも時差を気にしながらのメールのやりとりは楽しく嬉しかった。

ようやく逢えることになったその日、ブルーのワンピースを着て行った。
空色でもなく水色でもなく
少しだけ紫のニュアンスのある、白糸を絡ませたようなブルー。

現れた彼のシャツは同じトーンのブルーだった。
気持が寄り添っているような気がしてとても嬉しくなった。




デート |

菜の花畑。


夜になってその日2度目のデート。
古いビルの4階にある店での夕食。
迷ってしまい、少し遅刻すると、先に到着した彼は
既にオーダーを終えてワインを手にしていた。

アルザスの白ワインをオーダーして、何が出てくるのか楽しみに待つ。
クレソンのアーモンドサラダ。
香りの強い恐らく野生のクレソンと春菊に、ローストアーモンドを散りばめ、
殆どオイルを感じない和え物のようなサラダ。
もりもり食べる草食系の私たち。

菜の花とホタルイカの黒酢ソース。
うどやこごみも入っていて美しい。

燗酒もいただく。
帆立の春巻き。ぱりぱり。

はまぐりのお吸い物。

最後のせいろを開けると、そこは菜の花畑。

外はまだ雪が残るけれど、春を満喫する幸せなひととき。




デート |

頬の感触。


彼の頬に頬を寄せる。
すべすべした頬で彼の頬に触れ、
顔を回して唇で触れる。
両手で頭を抱えて指先でも。
愛おしい皮膚の感触を自分の全てで確認したい。


以前、待ち合わせていて逢えた時に、頭にキスしてくれたことが忘れられない。
唇で触れて匂いを確かめるような。
私が確かにそこに存在している事を確認するような。
親密な愛情に混ざった少しだけ保護者のような包容力に似たものを、
うっすらと感じたのだ。












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